海外情勢

インド、枝や幹で作る「生きた橋」 朽ちず壊れず…子孫へ残す

 インド北東部メガラヤ州の山間部に、地面に根を張ったままの大木から伸びた幹や枝を絡み合わせて造った「生きている橋」が点在している。観光スポットになりつつあるが、地元住民が木の成長に合わせ、数十年を費やして橋を架けるのは今後もその土地に住む子孫のためだ。

 木々が生い茂る山の中腹から30分以上かけて急な石段を下ると、谷間を流れる川の上に2本の大木と一体化した長さ約30メートルの橋が架かっていた。両岸から伸びた太い幹が複雑に入り組んだ橋桁はほとんど揺れず、数本のしなやかな枝が手すりの役割を果たしている。

 隣接するアッサム州から初めて訪れた通訳のパンカジ・ダスさんは「住民らの自然に対する愛情と尊敬、強い絆を感じる」と圧倒された様子だった。

 地元民族カシは川を挟んだ村と村を往来する手段として、成長が早いゴムの木で橋を造ってきた。木材やコンクリートのように老朽化せず、時間が経過するとむしろ強度が増す。雨期に増水しても川の水は枝の隙間を流れ、橋は壊れない。数十カ所にあるとされ、地元ガイドは「200年以上前にできたものもある」と話す。

 現在、製作中の橋もあり、地元住民は直径1センチほどの細長い枝を竹の添え木で対岸に向けたり、別の枝に巻き付けたりしていた。数年後には直径10センチ以上に育ち、強固な足場や柱になる。人が渡れるようになるまで20年、完成するまで40年はかかるという。

 住民のエビネス・リアンさんは「橋を造り始めた世代の人たちは使えないかもしれない。それでも子孫の生活、村の未来のために橋を残したいんだ」と語気を強めた。(チェラプンジ 共同)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus