国内

行動制限に強弱 13特定警戒都道府県と34県で明確に区分

 政府は緊急事態宣言を全国一律で延長する一方、外出自粛や施設使用制限などに強弱をつけるという対応で、13の特定警戒都道府県とそれ以外の34県を明確に区分した。専門家が「自粛の緩み」から再び感染拡大に転じることを懸念する中、経済活動の早期再開と宣言解除に向けた一定の道筋をつけたいとの狙いが見え隠れする。

 政府内で宣言延長の議論が本格化した4月下旬以降、専門家会議のメンバーの間では「人と人との接触8割削減」の目標が達成されないことへの危機感があった。新規感染者数が減少傾向にあることは間違いないが、スピードが想定より緩やかだったからだ。

 3月下旬の3連休で、都市部から地方へ感染が広がったこともトラウマになっていた。感染者数が少ないなどの理由で一部地域で宣言を解除すれば、その地域に人が押し寄せ、再び感染拡大を招くことが危惧された。地方ほど脆弱(ぜいじゃく)な医療態勢も念頭にあった。

 北海道で「第2波」とされる感染者急増が起きたことも踏まえ、1日の専門家会議後の会見で尾身茂副座長は「どの県でも再燃はあり得る」と指摘した。同日の提言で「当面、(宣言の)枠組みを維持することが望ましい」と強調したのは、早期の収束に向けて全国的な「接触8割削減」の実現が欠かせないとの思いの表れとみられる。

 一方、政府側には全国一律での宣言延長に慎重な意見もあった。感染者ゼロの岩手県のように「接触8割削減」の要請継続に理解を求めることが難しい地域があるほか、休業要請の長期化で地域経済が壊滅的ダメージを受けることを回避したいとの思惑もあった。

 13の特定警戒都道府県は「対象から外せば対策が緩む。増えることはあっても減らすことはない」(政府関係者)と延長方針が早々に固まったが、それ以外の34県については段階的な解除に含みを持たせていた。最終的な答えが条件付きでの行動制限の緩和だった。

 専門家会議の提言でも「感染の状況が厳しい地域」と「新規感染者数が限定的となった地域」と2分類し、折り合いをつけた。

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