欠かせぬ企業支援
製造業では、従業員に一定の給与を支払いつつ一時的に休ませる「一時帰休」が広がる。世界的な需要減で工場の一時操業停止や生産調整に追い込まれた自動車メーカーでは、ホンダやマツダ、三菱自動車が生産現場の従業員に対し一時帰休に踏み切った。日本自動車工業会の豊田章男会長は「技術と人材を失ったら回復への基盤すら壊れる」と危機感を語る。
新型コロナの影響の長期化を見据えた動きもある。東芝は国内製造現場の休業期間を延長せず、週休3日制を導入して7日から事業活動を再開する。出社日の勤務時間を増やすことで労働量を減らさないようにし、従来より休日を週1日増やす。出勤を抑えながらも業務に支障が出にくい環境を整える。
第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは、宣言が1カ月間延長された場合の経済損失額を累計45兆円と試算する。6日までの損失額(21.9兆円)からはほぼ倍増となる見通しだ。熊野氏は「倒産が増え失業率も悪化するため、国内経済に甚大なダメージを与える」と指摘。その上で、「売り上げが減少した中小企業などに現金を給付する『持続化給付金』の上積みなどが必要」とし、企業支援の重要性を強調する。
【用語解説】緊急事態宣言
新型コロナウイルス特措法に基づく措置。感染が全国的かつ急速に蔓延(まんえん)し、生活と経済に甚大な影響を及ぼす恐れがあるとき、首相が区域と期間を定めて宣言する。発令された都道府県の知事は(1)不要不急の外出自粛要請(2)学校や映画館、店舗を含む施設の使用制限の要請・指示-ができる。臨時の医療施設を開設するため所有者の同意がなくても土地や建物の使用が可能になる。医薬品などの売り渡し要請・収用も可能。保管命令に応じない場合などには罰則がある。