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新型コロナで「ポスト安倍」明暗 傷つき、存在感が消えそして向上したのは (1/2ページ)

 新型コロナウイルスへの対応策をめぐり、自民党の「ポスト安倍」候補の明暗が目立ってきた。政府が20日、閣議決定をやり直した令和2年度補正予算案をめぐる攻防などをひもとくと、各候補の現状もうっすら見えてくる。

 今回、大きく傷ついたのが自民党の岸田文雄政調会長だ。

 補正予算案に盛り込む現金給付の在り方をめぐり、岸田氏は当初、国民への一律給付を主張していた。しかし、財務省や麻生太郎副総理兼財務相らの反対論を考慮し、一度は自民党内の異論を抑え、大幅な減収があった世帯などに絞る案をまとめた。

 岸田氏を有力な後継候補と位置付ける安倍晋三首相も、一時は岸田氏の要請を受け入れる形で、給付額を世帯当たり「20万円」から「30万円」に上積みする配慮をみせた。

 それだけに、補正予算案を7日に閣議決定した後、首相が二階俊博幹事長や公明党のちゃぶ台返しを受け入れ、国民1人当たり一律10万円の現金給付へと方針転換したのは「ダメージが大きい」(岸田氏周辺)。自民党の政策立案の責任者として、今後も求心力を維持できるか、正念場を迎えている。

 一方、菅義偉官房長官は全国の小中高校への休校要請で最終決定に関与せず「首相との間にすきま風が吹いたか」と揶揄(やゆ)された。ただ、首相が布製マスク2枚の配布を決めた際や、シンガーソングライターの星野源さんとのコラボ動画投稿で批判が集まったときには、記者会見で手堅く首相をフォローするなど、政権運営に携わる姿勢は以前と変わっていない。

 しかし、政策面ではもっぱら各省庁間の調整役に特化し、中核となって具体策を練り上げるような動きは見られない。現金給付の攻防に深く関わった岸田氏らにくらべると、存在感がかすんでいる印象を受ける。

 「ポスト安倍」候補として存在感を高めたのは、経済と新型コロナの両方の対策を担った西村康稔経済再生担当相だ。緊急事態宣言の発令を早くから首相に進言し、休業要請をめぐる協議では小池百合子東京都知事と渡り合った。

 西村氏は、「地方創生臨時交付金」を都道府県知事が休業要請に応じた事業者に支給する「協力金」の財源として活用できるように調整した。官僚側は「休むだけで一律に交付するのは、地方創生になじまない」などと消極的だったが、西村氏は先週後半、北村誠吾地方創生担当相と交渉し、実現にこぎつけた。

 同じ閣僚でも、茂木敏充外相は、感染拡大に伴い各国が講じる入国拒否などにより、見せ場となる外交活動が制約されて苦しんでいる。

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