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新型コロナ、活路探る観光業 新プランやクーポン…工夫さまざま

 2月の訪日客数は、過去2番目の下げ幅を記録するなど新型コロナウイルス感染症の影響が直撃した。収束時期が見通せない中、3月以降も訪日客の減少は続くとみられ、観光関連企業からは悲鳴が聞かれる。一方、テレワークと託児所を組み合わせて宿泊プランを提供するなど工夫を凝らす事業者や、収束後に利用できるクーポンを先に提供する旅行関連ベンチャーなども現れ、環境が厳しい中で活路を見いだそうとしている。

 「真新しいホテルでの滞在を楽しみにしていたお客さまに申し訳ない」

 ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市此花区)が29日まで休業を延長したことで宿泊客が伸び悩み、19~24日までの休業を決めたUSJ公認ホテル「ホテルユニバーサルポートヴィータ」の担当者はこう述べて肩を落とした。

 USJの近隣以外でも大阪市や京都市では、稼働が2~3割に落ちたホテルが相次いでいるという。

 こうした中、宿泊事業者はこれまでにない宿泊プランで集客を図っている。

 東京都文京区の旅館「鳳明館」は「文豪缶詰プラン」を発売。本郷地区は明治の文豪が執筆のために籠った宿が軒を連ねた地域といわれ、宿泊客が文豪気分を味わえる企画を提案している。編集者にふんする旅館スタッフが「先生、原稿進んでいますか?」と催促しながら差し入れを運んでくる演出を用意。同旅館は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で団体客の宿泊者数が激減していたが、缶詰プランは発売後、5時間で完売し約50組の予約を受け付けたという。

 星野リゾートは、大人はテレワーク(在宅勤務)、子供は託児所で遊ぶという家族向けの宿泊プランを販売している。滞在先は同社が八ケ岳(山梨県北杜市)などで展開するリゾート「リゾナーレ」ブランドのホテル。通常は宴会場として使用する部屋に電源コンセントや無線Wi-Fiなどを完備し、客室のほかに仕事ができる場所を開放している。

 大阪市や京都市のホテルも休校中の子供を持つ家庭や、テレワーク中の会社員向けに駐車料金無料といった特典付きの宿泊・日帰りプランを打ち出すなどして挽回を図っている。

 一方、主に観光客向けに、荷物を置く空きスペースを提供している飲食店などを検索できるサービス「エクボクローク」を運営しているベンチャー、エクボ(東京)は、新型コロナウイルス感染症の収束後、エクボクロークを200円割引で利用できるクーポンを配布している。政府も収束後の観光キャンペーンの実施に向けた準備を進めており、厳しい中でどう工夫できるが観光関連各社に問われそうだ。

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