与党は、新型コロナウイルス感染拡大に対処するため4月にも策定する緊急経済対策について、事業規模約26兆円だった昨年末の経済対策を大幅に上回る30兆円超の規模とするよう政府と調整に入った。感染がパンデミック(世界的大流行)と認められ、国内経済も深刻な事態に陥る懸念が強まり、国民への現金給付による直接支援を柱に対策の検討を急ぐ構えだ。
政府は昨年末の経済対策で約13兆2000億円の財政支出をしたが、与党幹部によると、今回はこれを上回る支出規模になるという。
安倍晋三首相と自民党の岸田文雄政調会長は18日夜、東京都内のホテルで会食し、緊急経済対策などをめぐって意見交換した。
岸田氏はこれに先立つ16日の記者会見で、政府が昨年末に決めた事業規模約26兆円の経済対策に比べ「はるかに超える規模が求められている」と強調した。「支援が直接、国民の手に届く施策が求められている」とも語り、全ての国民への直接の支援策として現金給付を示唆した。
政府はリーマン・ショック後の平成21年に、全国民に1人当たり1万2000円を支給し、65歳以上と18歳以下には8000円を上乗せした。現金を給付しても貯蓄に回し、景気浮揚につながらないとの見方もあるが、公明党の石田祝稔政調会長は18日の記者会見で現金給付を検討課題の一つに挙げ、「ばらまきといわれようと、明るい希望が持てる政策は必要だ。思い切ってやる必要がある」と前向きな考えを示した。
一方、自民党若手らが求める消費税の減税措置については「一度下げたら、元に戻すのが大変だ」(党幹部)といった消極論が多く、見送られる公算が大きい。政府・与党は、現金給付を柱に観光で使える商品券や消費税以外の減税を組み合わせた対策を示すとみられる。