漫画などの海賊版サイト対策として、政府は10日、全著作物を対象に、無断掲載されたと知りつつダウンロードする行為を違法とする著作権法改正案を閣議決定した。現行法は音楽や映像に限っているが、漫画や雑誌、論文なども対象となり、悪質な場合は刑事罰を科す。著作権者に損害がない場合などは除外。施行日は2021年1月1日とし、今国会での成立を目指す。
海賊版に誘導する「リーチサイト」の運営も違法化する。この規定は今年10月1日に施行するとした。
萩生田光一文部科学相は記者会見で「海賊版対策の実効性確保と情報収集の萎縮防止とのバランスを取った」と強調。国民に改正内容が正しく理解されるよう、分かりやすい説明に取り組む考えを示した。
政府は昨年の通常国会でも同法改正案の提出を目指したが、漫画家や有識者から「対象範囲が広すぎてインターネットの利用が萎縮する」といった反発を招き見送った。今回の改正案では「軽微なもの」と「著作権者の利益を不当に害しない『特別な事情』がある場合」を除外。文化庁は、「数十ページの漫画の1こまといった一部にとどまる」「イベントを告知するポスターが無断掲載された会員制交流サイト(SNS)の投稿を保存」といったケースを例示している。
パロディー作品など2次創作物のダウンロードも対象外。改正案は、無断掲載された画像がスマートフォンなどのスクリーンショット(画面保存)に写り込んだ場合も違法ではないと明記した。
違法ダウンロードは、継続的だったり繰り返したりした場合、2年以下の懲役か200万円以下の罰金、またはその両方を科す。リーチサイト運営は5年以下の懲役か500万円以下の罰金、またはその両方とした。