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何があっても中国の彼らは負けない “在宅観光攻略法”で前向きな生活

 私見ながら、2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)大流行をきっかけに、中国人の生活様式が変わったなと感じることが3つある。「頻繁に手を洗う」「お菜箸が普及」「インターネットユーザーの激増」である。ネットに関してはデータでも証明されているようだが、SARS流行当時、中国の友人たちは一様に言っていた。(ノンフィクション作家・青樹明子)

 「もう何日も外出していない。一日中家の中なので、ネットばかり見ている」

 それは今回の新型肺炎も同じである。しかも春節(旧正月)という、一年でも最大級のお祭り期間が含まれていたので、外出自粛のなか、さて何をしようと戸惑う人も多い。

 「こんなに退屈な春節は初めて」「『寝正月』は国家への最大級の貢献だ」「宮中に閉じ込められていた妃たちの気持ちが初めて理解できた」「天井や床、壁のタイル、スイカの種や干しブドウ、ナッツ、全て数えるのは簡単ということが証明された」…。

 しかし何があっても彼らは負けない。このところ、ショートビデオ(「ティックトック」など)ではやりのテーマは「在宅観光攻略法(在家一日游)」なのだそうだ。

 「ベランダ峰、寝室街、ソファ遊園地、台所グルメ通り、シャワー大滝…面積は限られているけど、観光名所満載だよ」

 などと、20秒ほどの動画で自宅を紹介するのである。

 在宅時間を有効利用しよう!という声も集まる。

 「疫病が去ったら僕は調理師になるさ! 毎日自炊して、料理の腕がみるみる上がったからね」

 「これまで考えたこともないけど、この際資格取得の勉強をしようかな。会計学や法学関係。公務員試験の準備をしてもいいし」

 “禁足”が続くと、心配になるのは運動不足である。

 「買ったきり、ほとんど使うことのなかった健康器具、ランニングマシンを初めて使った」

 完全封鎖の武漢ではどうなのだろう。悲惨な映像しか届かないが、それでも人々は前向きに生きている。

 「ネット配信で映画を30本、テレビドラマを3作(中国のドラマは1作品50話以上である)見終わり、長編小説も1作読破した」

 「家でゆっくり休んでいる間に持病が治った!」

 「毎日料理をして家族に食べさせることが、こんなにも幸福だなんて、思ってもみなかった。火鍋(鍋料理)、野菜料理、肉料理…ネットで検索しながら作っている。味よし、健康によし、家族の笑顔よしだ」

 日本でも感染者数が増え、最近では中国の友人たちからお見舞いのメッセージが届くようになった。必ず添えられるひと言が「外出を控えてね」。さて日本で、これがどこまで可能なのか。

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