【ワシントン=塩原永久】過去最大の下げ幅となった27日のニューヨーク株式市場は、取引終了時間にかけて「投げ売り」の様相となった。肺炎を引き起こす新型コロナウイルスが世界的に大流行する「パンデミック」への警戒感に加え、米企業業績が下振れする見通しが強まったためだ。市場は底がみえない世界的な株安進行に身構えている。
「相場は落ち放題の状態だ。打つ手がない」
同日の米メディアは、そんな投資家の悲観的な見方を伝えた。米景気拡大と、底堅い企業業績への自信から、米株式指標は2月上旬に過去最高値圏で推移していた。それが一転し、1000ドル超の下げ幅を記録する取引日が相次いだ。
市場は先が見通せない新型コロナ問題への不安を強めている。米保健当局が国内の感染拡大は不可避だと指摘。日韓やイタリアなど中国以外でも感染者が増加しており、投資家は世界的な流行拡大が当面続く可能性を織り込み始めた。
米市場では中国経済の急ブレーキがどこまで米国に波及するかも焦点だった。
米ゴールドマン・サックスは27日、新型コロナの混乱拡大により、2020年通年の米企業の利益増加率がゼロになるとの見通しを公表。アップルやマイクロソフトが20年1~3月期売上高の下方修正を公表したばかりだったため、業績悪化の恐れが一気に浮上してきたことも、幅広い銘柄の売りを誘った。