厚生労働省は2020年度中に、外国人労働者の受け入れに前向きな都道府県を選び、中小企業による採用や職場定着の取り組みを支援するモデル事業を始める。人材が待遇の良い都市部に集中する問題が指摘されており、地域ぐるみの対応を促し、都市部以外への定着を進める狙いがある。
19年4月に創設された在留資格「特定技能」で来日する可能性がある人や、資格を得た人への対応が支援対象になる。希望する都道府県から最大五つを選び、22年度末まで実施する。政府の20年度予算案に約4億3000万円を盛り込んでおり、今秋の運用開始を見込む。
特定技能は転職を認めているため、都市部への外国人材の集中が懸念される。モデル地域では、外国人雇用のノウハウがない中小企業を国が支援。自治体も日本語教育など生活面を手助けする。対象地域の労働局と都道府県が連携し、中小企業向けのセミナーを実施したり、海外で面接会を開いたりして採用活動を後押しする。就職後も研修や面談など定着に向けた取り組みを継続。民間業者への委託も認める。
都道府県は地域企業や住民の理解を進めるほか、多言語での相談態勢を整えたり、住居費を支援したりして、来日後の生活を支える。厚労省の担当者は「地域に定着するには職場だけでなく地域での交流が重要。モデル事業を通じて好事例を集めたい」と話している。