海外情勢

ミャンマーで“人材育成熱” 日本企業、「特定技能」取得へ講座開設

 日本が外国人労働者受け入れ拡大のため昨年4月に創設した在留資格「特定技能」の取得を目指し、ミャンマーで人材育成を進める日本企業が相次いでいる。資格を得るには技能試験や基礎的な日本語試験に合格する必要があり、夢を抱く若者が習得に汗を流している。

 「シーツは端をしっかり合わせ、奥に引っ張りすぎないこと」。最大都市ヤンゴンでスーパーホテル(大阪市)が開く専門学校で、そろいの制服姿で耳を傾けるミャンマーの若者たちに、日本から出張した教育係がベッドメーキングを教える。

 同社は日本国内の事業拡大を目指すが、清掃やフロントを担う若い人材の確保が課題だ。2015年に進出し、ビジネスホテル2件を経営するミャンマーで人材育成にも取り組む。清掃サービス部門会社の安藤周二社長は「真面目な若者が多く、日本への関心が高い」と手応えを感じている。生徒の20代女性、ピョー・ピャ・ウィンさんは、昨年10月末の特定技能(宿泊分野)の試験に合格した。「日本のホテルで働きたい。たくさん経験を積みたい」と話す。

 外食業ではミャンマー出店を計画する「コメダ珈琲店」のコメダホールディングスも日本向けの人材育成を進める。都市部で外資系カフェが増えたこともあり、定員40人の養成講座に500人超が応募した。現地の日本語学校と組み、コーヒーのいれ方や食品衛生の知識も教える。

 南部の地方都市ダウェー出身の20代男性、シッ・トゥ・アウンさんは片言の日本語で「故郷でカフェを開きたい。お菓子の作り方を学びます」と熱っぽく語った。

 ミャンマー全人口の年齢の中央値は29歳と推定され、日本の48歳、タイの38歳よりずっと若い。18年の日本語能力試験の受験者は約2万9000人で、ミャンマーが民政移管した11年の約2000人から大幅に増加。国際交流基金が支援する日本語教師の養成講座も始まった。

 各分野の技能試験が続いており、関係者によると、早ければ20年春にも新たな在留資格で初となるミャンマー人労働者が訪日する見通しだという。(ヤンゴン 共同)

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