【ワシントン=塩原永久】トランプ米大統領は21日、スイスの世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で演説した。米経済の高成長を称賛し、「自由な企業活動を支える米国モデルは21世紀とその後の世界の手本になる」と強調。中国が国家主導型経済を維持する中、米国が自由主義経済の盟主となる姿勢を鮮明にした。会議主催者が主宰する大規模な植樹活動への参画も表明した。
トランプ氏は、大型減税や規制緩和を進め、半世紀ぶりの水準に改善した失業率などを自賛。中国を念頭に、人工知能(AI)や第5世代(5G)通信規格でも米国が先行する意向を示した。「他国も市民の自由を促進するよう要請する」とも述べた。
ダボス会議の主催団体が表明した1兆本の植樹をする計画について、トランプ氏は「米国が参画をきょう表明するのを誇りに思う」と述べ、環境問題に前向きに取り組む考えを示した。
一方、米連邦準備制度理事会(FRB)が「(一昨年末まで)あまりに急な利上げを進め、利下げは遅すぎた」と批判。マイナス金利を導入した他国・地域への不満もにじませた。
また、トランプ氏は中国との貿易協議に触れ、「略奪的な貿易慣行に誰も手を打ってこなかった」と指摘。今月署名した「第1段階」合意について、中国が市場開放に踏み出す利点を強調した。さらに「第2段階の合意に向けた交渉を近く始める」と指摘した。
ホワイトハウスによるとトランプ氏は22日までダボスに滞在し、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長や、イラクのサレハ大統領と会談する。