建築家の安藤忠雄さんが設計した韓国北東部江原道・原州の美術館「ミュージアムSAN」が人気を集めている。敷地内に増設された「瞑想(めいそう)館」は韓国政府などが癒やしと健康につながる「推薦ウェルネス観光地」に認定。K-POPアイドルの来館で若者の認知度も高まっている。
「誰でも手に入れられる材料であるコンクリートを水や日光、影などの自然と融合させ、誰にもまねできない建築を生み出してきた巨匠」。韓国紙は最近、安藤さんをこう評した。
ミュージアムは2013年にオープン。標高275メートルの山中にある。「建物本体だけでなく敷地全体をミュージアムにしたかった」という安藤さんの狙い通り、自然に囲まれた静寂さが魅力だ。
韓国・新羅時代の古墳をモチーフにした「ストーンガーデン」、ビデオアートの先駆者・ナムジュン・パイクさんの作品展示室、不思議な空間感覚を楽しめる米国の現代美術作家、ジェームズ・タレルさんの作品などがあり、学芸研究員の崔真さんは「建築専攻の韓国人学生が学習コースとして来ることもある」と語る。
昨夏には、日本でも人気を集めている韓国の男性音楽グループ「BTS(防弾少年団)」のリーダーが訪れ、ツイッターで写真を公開して話題になった。韓国では南部済州島などにも安藤さんが手掛けた建築物があり、済州島では地元の観光コースにも組み込まれている。(原州 共同)