経済産業省は12日、再生可能エネルギーの支援制度の縮小に関する報告書案を有識者委員会に示した。固定価格買い取り制度(FIT)の対象から大規模な太陽光・風力発電を外し、市場価格に連動した補助に切り替える。原資を支払う家庭や企業の負担の軽減と普及促進の両立を図る。
有識者委では制度の骨格に異論は出なかった。経産省は別の有識者会議などで新たな制度の細部を詰める。来年の通常国会を目指して関連法の改正案を提出する。
新たな制度は発電設備の建設費のさらなる低下が見込まれる、大規模な太陽光や風力に適用する。発電事業者は電気を卸電力取引市場や自社で探した相手に売る。国が定めた機関がその収入に、市場価格に応じた金額を上乗せして補助を支払う。市場価格が高いときの補助額は少なくする。発電事業者は入札で選び、全体の補助額を抑える。新制度はFIPと呼ばれ、再生エネの普及で先行する欧州を中心に導入が進んでいるという。
住宅用などの小規模な太陽光やバイオマス、小規模地熱や小水力発電などは現行のFITを維持する。地産地消であることや、木材など地元の資源を有効活用する点を評価し、手厚い支援を残す。将来は新制度への移行も検討する。
太陽光パネルの不法投棄対策として、廃棄費用を発電事業者に強制的に積み立てさせる。地域間で電気を融通する送電線に関しては、投資費用を電気料金に上乗せして回収する仕組みを整える。