太陽の昇る国へ

政府が行うべき対策とは 幸福実現党党首・釈量子

 --事業費26兆円に上る経済対策が閣議決定された

 国と地方の歳出、財政投融資などを合わせた財政規模はおよそ13兆円に上り、前回(2016年8月)の経済対策に並ぶ規模となりました。今回の経済対策には、台風19号などの被害を踏まえた治水対策や復旧・復興策が盛り込まれています。

 先日、千曲川の堤防決壊により浸水被害を受けた長野市の穂保地区周辺を視察しました。堤防の決壊から2カ月たった今も、いまだに目を覆うような惨状にあります。

 被災した地域では、道路に積もった土砂を重機を使って撤去する作業が今も続いています。濁流で破壊された家屋では、ボランティアが手作業で泥をかいていました。

 河川敷のリンゴ畑も土砂が堆積し、壊滅的です。重機の入れない農地は手作業で除去するほかなく、特産のリンゴ農家の存続も危ぶまれています。本格的な生活の再建に向けて、政府には最大限の支援を行っていただきたいと思います。

 また、相次ぐ災害の激甚化に伴い、災害対策は河川整備計画そのものの見直しを図るなど、万全を期す必要があります。治水対策のインフラ整備は、国民の安全や財産を守ることにつながるため、大胆に投資すべきです。

 --経済対策を行う上で政府の現状認識をどう思うか

 率直に言えば、やや疑問を感じています。「海外発のリスクが顕在化した」として、経済の下振れリスクに対応するために今回の経済対策を行う旨を明示していますが、米中貿易戦争が日本経済にとっても打撃になることは、先の選挙の前から分かっていたはずです。現在は、それを押して増税したダメージが顕在化したわけで、何とも違和感があります。

 特に、消費下支え策の一つとして掲げられているのが、マイナンバー(個人番号)カードを活用した新たなポイント制度です。マイナンバーとひもづけしたキャッシュレス決済の口座に現金をチャージすればポイントが付与されるという制度で、25%分を還元するとされています。

 これによってマイナンバーカードの普及も進めようとの狙いがあるようですが、財務省の委託先業者による情報漏洩(ろうえい)事件などを見ても、十分な対策が取られているとはいえません。さらに今後、マイナンバーを健康保険証や医療情報にひも付けするようになれば、さらにリスクは高まります。

 また、あらゆる情報が一元化されることで資産課税に道を開くことにもつながります。国民の私有財産を丸裸にできる国は、もはや自由主義国とはいえず、この国は「監視社会」に向け着実に進行しているといえるでしょう。

 さらに、ICT(情報通信技術)の教育機会を地域によらず確保しようとの狙いから、児童や生徒が学校で1人1台のパソコンを使う環境を整備するための予算が盛り込まれています。

 経済協力開発機構(OECD)により公表された国際学習到達度調査(PISA)によると、日本は数学的応用力や科学的応用力で軒並み順位を下げたほか、特に読解力については、前回調査(15年)の8位から15位に大きく順位を下げています。近年のスマートフォンの普及により、読書量が劇的に減少したことが影響しているのではないでしょうか。

 スティーブ・ジョブズ氏やビル・ゲイツ氏は自分の子供に対してはタブレットなどハイテク端末の使用を制限していたことはよく知られています。大切なのは教育の質であり中身です。パソコンが使えるようになるよりも、世のためにという高い志や自助努力の精神、そのために必要な基礎学力を身に付けられるかどうかに心血を注ぐべきではないでしょうか。

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【プロフィル】釈量子

 しゃく・りょうこ 1969年、東京都生まれ。国学院大学文学部史学科卒業。大手家庭紙メーカー勤務を経て、94年、宗教法人幸福の科学に入局。常務理事などを歴任。幸福実現党に入党後、女性局長などを経て、2013年7月より現職。

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