政府が近く取りまとめる経済対策について、国が低利資金を供給する財政投融資を含む財政措置を13兆円程度とする方向で調整していることが3日、分かった。これに民間企業の支出分などを加えた事業費の合計は25兆円を超える。政府は必要な経費を2019年度補正予算案と20年度当初予算案に計上する方針で、与党の会合に対策案を提示。調整を行った後、5日に閣議決定する。
対策は、相次ぐ自然災害への対応や景気下支えが目的。財政措置13兆円のうち、国の一般会計からの支出分は補正予算案で4兆円超、当初予算案で1兆円台後半をそれぞれ手当てし、計6兆円程度となる見通し。さらに特別会計を活用して1兆円台半ば程度を確保する。地方の負担分は1兆円台半ばを超えそうだ。財政投融資は3兆円台後半とし、交通網整備や都市再開発に振り向ける。
第2次安倍政権発足以降では、今回の経済対策は5回目。前回16年8月に策定した対策は総事業費が28兆1000億円、特別会計を含む国費は6兆2000億円に上った。今回もこれに匹敵する規模だが、数年にわたる事業も盛り込まれる見通しで、実効性が問われそうだ。
安倍晋三首相は3日、官邸で開いた政府与党連絡会議で、経済対策を通じて「(台風などの)被災地の一日も早い復旧復興を果たすとともに、デフレ脱却と経済再生への道筋を確かなものとしていく」と述べた。経済対策は、災害からの復旧・復興や経済下振れリスクへの対応、未来への投資と東京五輪後の活力維持を柱として、首相が11月8日に策定を指示していた。
【用語解説】経済対策
政府が景気刺激や災害復旧・復興のために講じる経済財政政策。公共事業の上積みや消費喚起策を盛り込むことが多く、年度途中に補正予算を編成して財源を確保するのが一般的。対策の規模は国の歳出(支出)額を表す国費に加え、地方自治体による支出や国が低利資金を供給する財政投融資を加えた「財政措置」、民間企業などの支出も踏まえた「事業費」といったさまざまな尺度がある。