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うなぎ上り? 中国・大学生の生活費

 9月に新学期を迎えた後、中国の会員制交流サイト(SNS)で、熱い議論となった書き込みがある。入学したての女子大生が、母親に毎月の生活費として4500元(約7万円)を仕送りしてほしいと頼んだが、拒絶されたという内容である。(ノンフィクション作家・青樹明子)

 彼女の書き込みは、「大学に入る前(受験生の頃か)、塾の費用など月に4000~6000元を払ってくれていたのに、入学後は2000元に下がった。同級生はもっともらっていて、この額では友達付き合いもできない。男子だったら費用はもっとかかるはず。お母さん、お願いだからもっと送って!」。

 この後、これをきっかけに、大学生の生活費とはいったいどのくらいなのかが、改めて注目された。

 貴州省・貴陽ニュース(ネット版)では、大学生の生活費に関する統計2019年度版が紹介されている。それによると、最も高いのが首都北京で、約2928元。そして広東省広州市で約2500元、山西省が約2300元と続いている。

 中国で言う大学生の生活費とは、学費・住居費は含まれない。日常的に使う費用で、食費、交通費、電話代、被服費、娯楽交際費などである。

 地方の某女子大生の場合、親からの仕送りは2500元だが、毎月赤字だと言う。実際の支出は、朝食5元、昼食と夕食が各10元(学生食堂で食べる場合)、果物・菓子類が20元で、計45元×30日で1350元。週に一度は友達とカラオケや映画に行き、その費用が約600元。電話・水道光熱・交通費などで120元、被服・化粧品代で約500元。これだけで既に2570元で、さらに書籍・文具代などが加わる。

 「これらは最も低く見積もった額。毎日学食でばかり食べるわけにはいかないので、実際はもっとかかるわ」

 経済格差が激しくなる一方の中国で、富める者と貧しい者が唯一混然となっているのが大学である。入試というハードルを超せば皆平等というのが建前だが、現実は違う。格差は一目瞭然なのである。

 大都市で裕福に育った学生は、海外ブランドのスマートフォンやパソコンを手に、朝からコーヒーを飲む。貧しい農村から来た学生は、コップにお湯を注ぎ、毎日同じ服を着る。片や大学周辺のレストランで食事し、休み時間は外国製のチョコレートをかじる。もう一方は学食で3食済ませ、友達と映画に行くこともほとんどない。貧富の差は、若者が人生最初に遭遇する現実でもある。

 しかし親は大変だ。先日北京で、2人目の子供が生まれたばかりの友人に会った。「一人っ子」政策撤廃後に見られる「2人の子供のお父さん」である。その友人によると「子供が1人か2人かで、負担がこれほど違うとは思わなかった」そうで、最大の問題は教育費だと言う。中国で2人の子の親になるのは、実に大変である。

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