小泉進次郎環境相が得意なはずの地方行脚で苦しんでいる。19日には熊本県水俣市で水俣病関連の慰霊祭に参列したが、関係者との意見交換会では、特別措置法で定める周辺住民の健康調査を行うかどうかあやふやな発言を続けて反発を招いた。小泉氏は東京電力福島第1原発事故の現場などを精力的に訪れ、被災地に寄り添う姿勢を示すが、問題解決に結びつく具体策は切り出さない。入閣して間もないからか、政治決断には慎重な姿勢がにじむ。
「減るものを嘆くより、減る中で何ができるか考える街作りをやりませんか。一緒になって考えれば、日本らしい発展の道が描けると思う」
小泉氏は慰霊式後、地元の商工会関係者と懇談し、人口減少をめぐる悩みに独特な“小泉節”でこう答えた。昼食で出された地場の魚介類を褒め、会合は和やかな雰囲気に包まれたが、次の水俣病被害者団体のメンバー約20人との意見交換会で空気が一変した。
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「大臣、ねぇ…ちゃんと返事してくださいよ」
小泉氏が締めのあいさつをした直後、出席者の1人があきれたように声を張りあげた。