海外情勢

欧州最古の旅行代理店トーマス・クック破綻の理由 税金で15万人帰還大作戦 (2/2ページ)

 毎年、夏の休暇で米国を観光で訪れるというロンドン在住のマーク・サイモン(45)さんは「離脱が最終的にどれほどの景気悪化を招くか分からず、各家庭が経済的な備えをしておきたい時に、海外旅行に行くのは勇気がいる」「かなり多くの国民が海外旅行に消極的だろう」と話した。

地盤沈下が進む欧州

 事実、ジョンソン政権がまとめた内部文書によると、合意なき離脱となった場合、生鮮食品の輸入が減少して価格が上昇するほか、医薬品の供給量も減り、低所得者に打撃を与える可能性がある。

 英経済への影響だけではない。

 EU統計局が発表したユーロ圏19カ国の2019年4~6月期の実質域内総生産(GDP)は、前期比0・2%増で、18年10~12月期以来、2四半期ぶりの低い伸びとなった。離脱の懸念から、EU加盟国の経済成長が鈍化したとみられている。

 英国に自動車を輸出するドイツは特に深刻で、関税復活により重い負担が生じる見通しだ。独連邦銀行(中央銀行)は景気後退に陥る恐れがあると警告している。

 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は9月23日、離脱の影響も踏まえ、短期間でのユーロ圏の景気回復が見通せない-との認識を示した。

 離脱問題は今後、英国の老舗企業にとどまらず、輸出事業を担う企業を中心に欧州ビジネスに暗雲をもたらす恐れが高い。

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