--東京電力福島第1原子力発電所にたまり続ける放射性物質を含む処理水に関し、議論されている
処理水をめぐる、原田義昭前環境相の「海洋放出しかない」との発言に対し、小泉進次郎環境相が謝罪し、物議を醸しています。「処理水」とは、核燃料を冷却した後に出る「汚染水」から、放射性物質を除去したものです。処理水には、ごく微量のトリチウムが含まれますが、薄めて流せば全く問題のないものです。
しかし、日本では漁業への風評被害を理由に、科学的には何の問題もない処理水の海洋放出ができずにいます。福島第1原発では、現在、処理水が115万トンを超え、このままでは3年後にはタンクが満杯になってしまうとされています。原田前環境相は当たり前のことを発言して、「決められない政治」に一石を投じようとしましたが、小泉環境相の謝罪で振り出しに戻ってしまいました。
--韓国が国際原子力機関(IAEA)の総会で、日本の処理水に懸念を表明している
韓国を含む世界の原発でもトリチウムを薄めた処理水を海や川に放出しています。「海洋に放出すればもはや日本の国内問題ではなく、世界全体の海洋環境に影響を及ぼしうる重大な国際問題となる」との韓国の主張は、著しく不公正で科学的根拠を欠いたものであり、断固として反論すべきです。
しかし、このような韓国の独善的主張を許してしまった原因は、いまだに海洋放出を決められない日本の政府にもあり、この構図は「従軍慰安婦」問題と似ています。今回の小泉進次郎氏の発言は韓国に日本批判の格好の材料を与えることにもなり、政府として明確に否定しなければなりません。
--今月中旬に日本列島を直撃した台風15号によって、千葉県を中心に大規模停電が発生した
この停電に伴い、熱中症の疑いによる死者が相次ぐなど、甚大な被害が生じています。亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げるとともに、被害に遭われた方々に対しお見舞い申し上げます。
今回、千葉市で最大瞬間風速57.5メートルが観測されるなど、過去最強クラスの台風が直撃し、多くの電柱が倒れるなどして、千葉県南部を中心に最大で約93万件が停電になる事態となりました。もともと千葉県南部は電力網が弱いといわれているにもかかわらず、電力会社による設備投資が十分に進んでいなかったことが被害を拡大させた形となりました。
これは、電力の小売り全面自由化により、電力の安定的で中長期的な売買が必ずしも行われなくなり、電力会社が長期資金を調達することが困難になったとの指摘もあります。
このほか、2011年の原発事故において、当時の民主党の失政により生じた過度な事故対応コストが発生したことも大きな原因の一つです。日本の送配電網の多くは1960年代以降の高度経済成長期に建設されたため、老朽化した設備の更新時期が今到来しており、その送配電網の更新・強化は待ったなしとなっています。
--日本時間18日未明には、サウジアラビアの石油施設が攻撃を受けた
エネルギー安全保障のあり方を考えさせられる出来事といえます。今回の攻撃により、サウジアラビアの生産量の半分、世界の石油供給量のおよそ5%に相当する日量570万バレル分の原油生産が一時的に減少することが明らかとなっています。
生産の停止が長期化するようなことがあれば、原油輸入量のおよそ4割分をサウジに頼っている日本の国民生活や国内産業は大打撃を受けることになりかねません。
原油価格が1バレル当たり15ドル上昇すると、日本経済の成長率は0.2%下がるとの試算もあります。エネルギー調達先の分散をはかるとともに、政府には、実施直前となった消費増税を即刻中止するよう求めます。
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【プロフィル】釈量子
しゃく・りょうこ 1969年、東京都生まれ。国学院大学文学部史学科卒業。大手家庭紙メーカー勤務を経て、94年、宗教法人幸福の科学に入局。常務理事などを歴任。幸福実現党に入党後、女性局長などを経て、2013年7月より現職。