日中韓と東南アジア諸国連合(ASEAN)など16カ国が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の閣僚会合が8日にバンコクで開かれる。関税や知的財産などの重要分野を集中的に議論するが、参加国間で意見の隔たりは大きい。目標の年内妥結に向け、今回の会合で各国がどこまで歩み寄れるかが鍵となる。輸出規制をめぐる日韓の対立も懸念材料だ。
日本は世耕弘成経済産業相が出席する。世耕氏は3日の閣議後の記者会見で「残された論点を政治的リーダーシップで決着できるよう議論したい」と述べた。
RCEPの約20の交渉分野のうちほぼ半分は妥結済みだ。ただ、関税や知的財産など各国の立場の違いが最も明確になる分野が残っており、厳しい交渉になることが予想される。世耕氏は「年内妥結に向けて交渉の大きなヤマ場を迎える」と話した。RCEPは2013年に交渉開始。当初は15年末までの妥結を目指していたが、日本やオーストラリアなどが高いレベルの貿易自由化を求めるのに対し、インドは自国産業を守るため関税削減に慎重な立場で、交渉が長引いている。
ことし8月に北京で開かれた閣僚会合は、3分野で新たに協議がまとまったと強調。主催した中国は、11月にバンコクで開催予定の首脳会合で妥結するよう各国に協力を呼び掛けた。中国は貿易摩擦で対立する米国への対抗軸として、RCEPに前向きとされる。
勢いに水を差しかねないのが、日韓の関係悪化だ。韓国は、多数の国が参加する国際会議で日本による輸出規制強化をたびたび取り上げ、批判を繰り返している。世耕氏は今回の会合について「2国間の問題を多国間の場で発言しないよう期待したい」と牽制(けんせい)した。
RCEPの妥結には日韓2国間での交渉が不可欠だが、北京では日韓の閣僚会談はなかった。バンコクで韓国側と会談するかどうかが注目される。