金融庁の2020年度税制改正要望の全容が分かった。老後に備えた資産形成を助ける少額投資非課税制度(NISA)について、恒久化や所得税などの非課税措置を求めることが柱。老後に夫婦で2000万円の蓄えが必要と試算した金融審議会の報告書が強い反発を招いたが、高齢化が進む中、資産形成の自助努力を促す税制支援策の拡大が必要と判断した。
月末に財務省に提出し、与党が年末にまとめる税制改正大綱に盛り込むことを目指す。NISAの拡充を念頭に置いた金融審議会の報告書が事実上撤回に追い込まれたことから、税制改正要望の内容が注目されていた。
今回、恒久化を要望するのは、23年末に期限を迎える投資上限額が年間120万円の一般的なNISAや、37年末が期限の少額から利用可能な「つみたてNISA」など。企業が従業員の資産形成を支援するため、つみたてNISAの積立金に奨励金を支給している場合は、3年間に限り毎月1000円まで所得税などを非課税とする措置の創設も求める。
ただ、NISAの利用者は金融資産に比較的余裕がある高齢世代が目立ち、「金持ち優遇」との批判もある。財務省内には公平性を疑問視する声もあり、実現に向けた協議は難航しそうだ。
金融庁は、支払った生命保険料のうち、一定金額の所得を控除する「生命保険料控除制度」の拡充も要望する。生命保険や介護医療保険などの控除限度額を所得税で5万円、地方税で3万5000円にそれぞれ引き上げ、所得税については適用限度額を15万円とするよう求める。