中小製造業者3万社を対象とした公正取引委員会の調査で、大企業が下請けの中小企業から知的財産を不当に取得する事例が約730件見つかったことが、分かった。強い立場を利用し、企業機密の技術やノウハウの提供を強いるケースが目立った。独禁法が禁じる「優越的地位の乱用」に当たる可能性があり、公取委は是正を促す。
結果は近く公表する。契約で明示されていないのに、下請け側が設計図やデータを無償で提供させられたという事例が多かった。共同研究の成果を、一方的に発注元の帰属にする契約を強いられたケースもあった。
特許に代表される知的財産は中小企業の技術力を支える源泉とされ、結果を問題視した公取委はさらに詳しく実態を調べる。悪質だと判断したケースについては、勧告などの行政処分に踏み切る可能性もある。
調査は昨年10月以降に進め、約1万6000社から回答を得た。