米国が中国からの輸入品2000億ドル(約22兆円)分に対する追加関税率を引き上げたことを受け、中国は12日までに貿易協議で「決して譲らない」とする3つの争点を明確にした。国家主権が侵されかねないと受け止めており、米国に屈しない姿勢を強調した。
米国は13日、輸入品約3000億ドル分を対象としたさらなる追加関税措置の手続きを公表する。中国は景気刺激策で経済を下支えしながら、米国との協議を続ける構えだ。
9、10日の米国との貿易協議を終えた中国の劉鶴副首相は、譲れない点として(1)追加関税は全て撤廃すべきだ(2)既に約束した米国からの輸入拡大量について、解釈の変更は容認できない(3)協議中の合意文書は修正が必要-を主張した。
中国が特に重要視するのは第3点だ。ロイター通信によると、知的財産権保護などに向けた法改正を盛り込んだ合意文書案について、中国は修正を要求。劉氏は文書内容は「国家の尊厳」に関わる問題だと強調し、主権侵害には断固反対する姿勢をにじませた。また中国は米中摩擦で製造業が打撃を受けており、追加関税の完全撤廃は喫緊の課題だ。米国からの輸入拡大をめぐっては大豆などの巨額購入を既に約束したものの、香港メディアによると、輸入量の定義をめぐり米中の見解に相違があると劉氏は語った。
中国共産党機関紙、人民日報は11日付の評論で「中国はいかなる極限の圧力にも屈しない」とアピール。政府は民間企業への銀行貸し出しを増やすなど、景気刺激策を次々と打ち出している。(北京 共同)