海外情勢

露極東の空港に日本の技術 極寒地で改修事業、20年着工予定

 ロシア極東サハ共和国の首都ヤクーツクで、日本企業が国際空港の改修事業に参画する。事故防止のため機体に氷が付着するのを防ぐ機器などの導入を目指す。北極圏に近く冬は氷点下50度を下回ることもある極寒地で日本の高度な技術を活用するのが狙い。極東での日露経済協力事業として注目を集めそうだ。

 極東ウラジオストクを中心にロシアでの事業を幅広く手掛ける北海道総合商事(札幌市)が昨年12月、ヤクーツクの空港会社と国際線ターミナルの近代化事業に関する覚書を締結した。旧ソ連時代から使用されてきた設備の更新が目的だ。

 「各国と協力を検討したが、日本の技術は突出している。最高のパートナーだ」。空港会社で財政部門を担当するコンスタンチン・セルゲエフ副社長は評価する。現在、ヤクーツクからは中国や韓国、タイ、ベトナムとの定期便があるが、日本とはない。セルゲエフ氏は「将来的な就航も期待できるのではないか」と見通す。

 北海道総合商事によると、具体案について空港会社と協議を始めており、2020年秋に着工、21年の運用開始を予定している。予算規模は約2200万ドル(約24億5300万円)で、搭乗の際の窓口システムや荷物の通関制御装置の導入が検討されているという。北海道総合商事が日本のメーカーと交渉し、最新技術の提供をサポートする。

 同社はサハ共和国で寒冷地でも通年栽培が可能なトマトの温室栽培を行っているほか、ホテルやごみ処理施設の建設を進めている。温室を新設し野菜栽培の生産能力拡大も計画しており、今年2月には6200万ルーブル(約1億円)の追加出資を実施。日露間のビジネスの先導役として、存在感が高まっている。

 同社のウラジオストクの現地法人「ペガスHC」の池田英希社長は空港改修事業に関して「日本の技術に対する期待の高さを感じている。日本のメーカーからも機器導入に関する複数の問い合わせがある」と積極的だ。(ヤクーツク 共同)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus