中国が“禁韓令”の一環で韓国への団体旅行を禁じてから2年が経過した。一部で再開されたものの、中国人観光客は戻っておらず、不振が続く。韓国の“同盟国”米国との貿易戦争まっただ中の中国は解除に動く気配がない上、中国人の韓国離れも進み、韓国観光業の先行きが見通せない。
売り上げ7割減の店も
「中国人観光客が戻ってくれば道が開けそうだ。中国がこんな偏狭な国とは知らなかった」。3月中旬、ソウル市内で観光客向けにアクセサリーを売る商人が販売減に嘆く様子を韓国紙、中央日報(日本語電子版)が伝えた。中国が在韓米軍の最新鋭迎撃システム「高高度ミサイル防衛システム(THAAD)」配備に反発して、自国の旅行会社に韓国旅行商品の販売を禁止したのは2017年3月。その後、北京、上海など一部の地域で韓国観光のための団体ビザの発給が許されたものの、ソウル市内の人気の観光スポット、明洞(ミョンドン)や南大門(ナムデムン)で、かつて大勢訪れた中国人観光客を見つけるのは難しいという。
韓国観光公社によると、16年に806万人に達していた中国人入国者数は17年には416万人に半減。「やや回復した」という18年も478万人にとどまった。ある化粧品店の店主は「THAAD配備以前より売り上げが70%も減った。回復の兆しもない」と肩を落とす。