北京で暮らしていた頃、中国人の若者と、某日系スーパーに寄る機会があった。ここは日本製食品も多く、精肉コーナーには和牛も並ぶ。「和牛だ!」と思った途端、楽しい想像が頭に浮かぶ。「今晩はすき焼きにしよう!」
すると私より先に、同行の若者が声を上げた。「和牛だ!ソンちゃんに牛肉鍋作ってあげよう!」
ソンちゃんとは、ペットの犬である。私とソンちゃん、今晩はほぼ同じメニューのようだ。
ラジオ番組で「何か一つだけ持って逃げなくてはいけないとき、何を選ぶか」という話題を取り上げたことがある。リスナーの女子高生は即答した。「ペット!」
中国のペット市場が今、とんでもないことになっている。統計によると、2010~16年、中国ペット産業の年間成長率は49.1%で、20年には2000億元(約3兆3300億円)を突破するという。日本を超え、米国に次ぐ世界2位のペット消費市場になる見込みだ。急成長する中国ペット市場の担い手は、1990年代生まれの若者たちである。中でも、「95後(95~99年生まれ)」と言われる新世代は、ペットにかける愛情の度合いが半端ない。
ペットの中でも高い人気を誇るのが猫だが、猫用フードで最近人気なのが、オーダーメードの猫草だという。他にも糖尿病予防に糖質をコントロールしたもの、猫の種類に合わせた特製品など、猫用フードは2年連続で売り上げ増加率が100%を超えた。