フィリピンで没したキリシタン大名、高山右近(1552~1615年)が、現地で脚光を浴びている。マニラ市は右近がフィリピンに到着した12月21日を「高山右近の日」に制定。観光省はゆかりの地を周遊できるよう整備を進める。信仰を貫いた右近の足跡を、多くの人にたどってほしいとの願いだ。
右近は現在の大阪府豊能町に生まれ、父の影響で子供の頃に洗礼を受けた。1614年に江戸幕府の禁教令でフィリピンに追放され、翌年、現地で病死した。2017年にはローマ法王庁から、カトリックで最高の崇敬対象とされる「聖人」に次ぐ地位の「福者」の称号を与えられている。
到着から丸404年となった昨年12月21日、マニラ市内にあるスペイン時代の城塞都市イントラムロスで「高山右近の日」制定記念の式典が開かれた。木製の右近像が披露され、タグレ枢機卿が祝福の儀式を行うと、参加した約50人から大きな拍手が起こった。毎年、この日には関連行事をする予定という。
出席した在フィリピン日本大使館の加納雄大公使は「両国が共有する歴史の記憶を呼び起こさせる。右近は友情の種をまいたのだろう」とあいさつした。