【ワシントン=塩原永久】国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は2日の講演で、世界経済が「さらに勢いを失った」と述べ、1月に下方修正した世界全体の成長率予測を、再び引き下げる可能性を示唆した。景気リスクとして英国の欧州連合(EU)離脱問題や貿易摩擦などを挙げた。近い将来の景気後退入りは否定した。
IMFは1月公表の世界経済見通しで、2019年の成長率を従来予想から0・2ポイント引き下げ、3・5%と見込んだ。20年も0・1ポイント低い3・6%とした。
ワシントンで講演したラガルド氏は、成長鈍化の要因に「貿易摩擦の高まりと金融引き締め」を挙げ、企業が一段と設備投資に慎重になることを警戒した。
米国と中国の貿易摩擦がさらに激化し、互いにすべての輸入品に25%の追加関税を課した場合、中国の国内総生産(GDP)が最大で1・5%減少し、米国のGDPも0・6%下押しするとの試算を示した。
一方、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ一時停止などで、世界経済が「恩恵を受ける」と指摘。世界景気は19年後半から、不安定ながらも「いくぶん持ち直す」との見通しを示した。