【主張】IR法施行令 不安拭い魅力ある施設に

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の整備に向けた、IR実施法の施行令が閣議決定された。今後、実現に向けた具体的な動きがさらに加速する。

 カジノは社会にマイナスに働く恐れがある施設だということを、くれぐれも忘れてはいけない。国や誘致に当たる自治体が、負の影響が出ないよう細心の目配りをしなければならないのは言うまでもない。

 その上で、IRがホテルや国際会議場などを一体整備する巨大な集客施設であることを、前向きに生かしていきたい。

 少子高齢化が進む日本では観光が成長戦略の柱となっている。地域の特徴を生かし、IR全体として外国人を含む観光客や、ビジネスの機会を呼び込めるよう、魅力ある施設にすることが肝要だ。

 施行令は、ギャンブル依存症対策として、外国人の誘客に限ってカジノ広告を認めることにした。マネーロンダリング(資金洗浄)の防止策として、100万円を超える現金とチップを交換した客の情報を国に報告することも、事業者に義務づけている。

 負の側面への対応策に手抜かりがあってはならない。昨年7月に成立した実施法そのものでも、日本人の入場を一定の回数に制限する依存症対策などを設けた。今回の施行令と合わせて、念を入れた対策で反社会的勢力を徹底して排除し、周辺の治安を悪化させないよう取り組む必要がある。

 施行令は、カジノの面積をIR全体の3%以下とし、ホテルの客室総面積は10万平方メートル以上とすることなども定めた。国内では異例の大規模施設となる。カジノに十分注意を払った上で、全体の集客力を高める方向を目指したい。

 大阪府・市、和歌山県、長崎県などが誘致を目指している。それぞれの基本構想を見ると、地域の観光資源や産品を生かそうとしている。最大限に活用すべきだ。

 大阪の場合、関西の文化に触れられる施設を整備する、関西の強みを生かしたIR発のツーリズムを創出する、などである。大阪は近畿圏への経済波及効果を年7600億円と推定している。

 IRを拠点にして訪日外国人が近隣の各地に出かければ、波及効果は大きい。新たな雇用も創出されよう。住民の不安を拭った上で地域に貢献できる施設としていきたい。

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