政府、著作権法改正案見送り ダウンロード規制対象拡大に懸念相次ぐ

 政府は13日、インターネット上の違法ダウンロード規制を強化する著作権法改正案の今国会への提出を断念することを決めた。

 改正案は急増する海賊版サイト対策として全ての著作物を対象に、無断で掲載されたと知りつつダウンロードする行為を違法とする内容だった。だが「表現の萎縮を招く」と懸念の声が上がるなど関係者の理解が十分得られていないとして、同日の自民党関係部会の役員会で了承が得られなかった。

 赤池誠章文部科学部会長は役員会終了後「著作権者、ユーザー双方の不安を払拭できていない。次期国会に向けて仕切り直すべきだ」と語った。

 改正案は、海賊版サイトだけでなく、個人のブログや会員制交流サイト(SNS)からのダウンロードや画面保存(スクリーンショット)も規制対象とし、継続または反復した悪質な違法ダウンロードには刑事罰を科すとしていた。

 しかしユーザー側に加え、著作権に詳しい学識経験者や漫画家団体などが、ネット利用者を萎縮させないよう規制対象の絞り込みを求める声明を発表するなど反発が広がっていた。