安倍晋三首相は7日の未来投資会議で、自家用車を使って有料で客を運ぶ「ライドシェア」の活用拡大へ道路運送法を改正する方針を表明した。公共交通の「空白地」という導入の前提条件を明確化。運行管理をタクシー事業者に委託しやすくするほか、地元住民に限らず観光客の輸送も認め、ドライバー不足などに悩む地域の足を確保する。実証実験が行われてきた「タクシー相乗り」も解禁する。
首相はライドシェアについて「利用者の視点に立ち、現在の制度を利用しやすくするための見直しが必要。タクシー事業者と連携を図ることは自治体と利用者双方にとってメリットがある」と述べた。今夏に取りまとめる成長戦略に盛り込み、法改正案は2020年の通常国会提出を目指す。タクシー相乗りは19年度中に通達で認める方向だ。
マイカー輸送は「白タク」として原則禁止だが、公共交通手段のない地域で住民の利用に限り認めている。ただ活用した市町村の数は昨年3月の調査で全国の26%。空白地の解釈が必ずしも統一されていないためとみて、定義をはっきりさせる。国家戦略特区に限定してきた観光客輸送を、全国的に認める。
また、ライドシェアの事業主体は自治体やNPO法人だが、運行管理まで職員らが担うのは負担が重い。そこで、タクシー事業者が管理に参画する際の地元調整手続きを簡単にする。
タクシー相乗りは配車アプリで同じ方向に行く客を募り、距離に応じた料金を事前に確定する。現在の認可時はこうした料金体系を想定していないため通達で認め、過疎地のバスを補完する考えだ。
首相は親会社と子会社がともに上場する際の利益相反を避ける指針策定も打ち出した。親会社から子会社へ派遣された取締役が出身元の利益を追求した場合、子会社の一般株主の利益を損なう可能性があることを問題視。上場子会社に、独立した社外取締役の比率を3分の1以上か過半数にすることなどを促す。