米中協議「なお多くの作業」と米通商代表

米議会で説明するライトハイザー米通商代表=27日、ワシントン(ロイター)
米議会で説明するライトハイザー米通商代表=27日、ワシントン(ロイター)【拡大】

 【ワシントン=塩原永久】トランプ米政権で中国との貿易協議を取り仕切る米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は27日、下院歳入委員会で証言し、「米中が合意に達する前に、なお多くの作業が必要だ」と述べた。中国が知的財産権保護などの構造問題に確実に取り組むことが重要だとし、「(最終)合意に拘束力を持たせる仕組みが不可欠だ」と語った。

 ライトハイザー氏は、過去の米政権が中国と結んできた経済・貿易合意は「反故(ほご)にされてきた」と指摘した。現政権下の協議は「かなり進展している」としつつも、最終合意には、中国に合意事項を順守させるための十分な仕組みが盛り込まれることが前提条件になるとの認識を示した。

 また、技術移転の強要問題や、政府補助金などに関する中国の取り組みについて、定期的に進捗を検証する制度を米側が求めていると説明した。事務レベルで毎月開き、次官級を四半期ごとに、閣僚級は半年ごとに開く考えも示した。違反が確認された場合は「米国は一方的に行動をとる」と述べ、対抗措置に出る可能性も示唆した。

 トランプ米大統領は3月中にも米南部フロリダ州で首脳会談を開き、中国側と最終合意を結ぶ意向を示している。3月2日に予定した対中制裁関税の引き上げも延期する方針だ。ロイター通信によると、USTRは正式な延期の通知を近く官報を通じて発表する。

 ライトハイザー氏によると、米中は先週まで開かれた協議で、合意文書について「具体的で詳細」に討議した。中国の銀行事業や電子決済をはじめとするサービス分野の市場開放など、米中間の経済・貿易分野の幅広い課題を話し合ったという。