世界経済減速で不透明感 日銀、マイナス金利深掘りの観測も (2/2ページ)

記者会見する日銀の片岡剛士審議委員=27日、高松市(西村利也撮影)
記者会見する日銀の片岡剛士審議委員=27日、高松市(西村利也撮影)【拡大】

 日本は10月に消費税増税を控えている。政府が手厚い景気対策を実施するとはいえ、東京五輪需要の剥落も始まることを考えれば、デフレの長期化や景気鈍化を招きかねない。今のうちに長期金利を一層引き下げることで設備投資や賃上げを促し、物価上昇と景気拡大を後押しすべきだというのが片岡氏の考えだ。

 専門家の間でも日銀が追加緩和に踏み切ると予測する声も出始めている。SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは今月公表のリポートで「31年度後半から32年度前半に日本経済の落ち込みが深刻化する可能性が高い」と分析。「31年度後半に日銀は10年国債利回りを押し下げ、金融緩和措置を講じる」と予測する。

 とはいえ日銀は国債購入によって長期金利を0%程度に誘導する政策を継続しており、景気てこ入れの政策余地は乏しい。長く続く低金利により利ざやが縮小した地域金融機関の経営が悪化する副作用も顕在化するなか、厳しい政策運営を迫られている。(西村利也)