日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)が1日発効し、国内総生産(GDP)の合計で世界の約3割、貿易総額で約4割を占める世界最大級の自由貿易圏が誕生する。政府の試算では、貿易や投資が活発になり、日本のGDPを約5.2兆円押し上げる。日本の雇用は約29万人増加する見込みだ。
関税は、農林水産品と鉱工業品を合わせ、日本側が約94%、EU側が約99%の品目で撤廃する。「神戸ビーフ」など産地と結び付いたブランド名を持つ農林水産品の地理的表示(GI)を相互に保護する知的財産権も定めた。
輸入品の欧州産ワインは、価格の15%もしくは1リットル当たり125円かかっていた関税が即時撤廃となる。カマンベールやモッツァレラなどのナチュラルチーズは輸入枠内で関税を徐々に削減して16年目にゼロになる。牛肉は38.5%の関税が16年目に9%まで下がる。
一方、輸出に関しては、日本で生産する自動車を輸出する際の関税が8年目に撤廃される。緑茶や日本酒、しょうゆは関税が即時にゼロとなる。
こうした措置は、消費者に値下げの恩恵をもたらすが、国内農家は厳しい競争に直面することになる。
日欧EPAの発効は、今春に日本との貿易交渉が想定される米国への牽制(けんせい)にもなる。日欧間で関税が下がれば、米国産品の競争力が相対的に低下する。日本は米国に環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への復帰を促す考えだ。