財産権の保護強化など審議 外商投資法草案 技術移転強制を禁止

 中国新聞社によると、外商(外国の投資家や外資系企業)投資法草案がこのほど、全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会の審議に付された。

 草案は、外商投資の合法的権益に対する保護強化のため▽外資系企業の財産権に対する保護強化▽外商投資に関わる規範的文書策定の規制強化▽地方政府による契約の履行と確約遂行の促進▽外資系企業の苦情申し立て・権益擁護メカニズムの整備の面から規定を設けている。

 財産権に対する保護強化では「国は法に基づいて外国の投資家ならびに外資系企業の知的財産権を保護し、自由意思の原則ならびにビジネスのルールに基づいて技術協力を繰り広げることを奨励する。技術協力における条件は投資の各方面が協議の上で確定し、行政的手段によって技術移転を強制してはならない」と規定。

 規範的文書策定への規制強化では「法に違反して外資系企業の合法的な権益を損なったり、義務を追加したりしてはならない。法に違反して市場への参入や市場からの退出に関する条件を設けたり、外資系企業の正常な生産・経営活動に介入したり影響を及ぼしたりしてはならない」、地方政府に関しては「国益、公共の利益を理由に政府の確約や契約の約定を変える必要がある場合、外国の投資家、外資系企業がそのために受ける損失を補償しなければならない」などとしている。

 2018年10月現在、中国の外資系企業は95万社近くで、外資導入額は実行ベースで2兆1000億ドル(約231兆9500億円)超。

 傅政華司法相は草案の説明で、「策定されて久しい外資3法(中外合資経営企業法、外資企業法、中外合作経営企業法)は開放型経済という新たな体制を構築する必要性に合わなくなってきている。新たな情勢下での対外開放のさらなる拡大、外資の積極的かつ効果的な利用のために、さらに強力な法治面の保障を提供することが早急に必要になっている」と述べた。(RP=東京)