政府が26日、クジラの資源管理を担う国際捕鯨委員会(IWC)からの脱退を正式に決めたことを受け、江戸時代から捕鯨が文化として根付き、関東唯一の捕鯨基地「和田漁港」がある千葉県南房総市では、関係者が政府の方針を支持しつつも冷静な受け止めが目立った。
「クジラを一頭も食べてはならないという国と、クジラを条約に基づく生物資源とみなし食べる文化があるわれわれでは生産的な議論ができないことがはっきりした。IWC脱退は歓迎だ」と話すのは、和田漁港における捕鯨を担う水産会社「外房捕鯨(がいのうほげい)」の庄司義則社長(57)。同社はIWCの規制外のクジラを捕獲し、肉や加工品を販売するほか、クジラ肉を提供する食堂を運営する。「クジラを捕獲して食べるという地域の文化は変わらない」と冷静に話す。
南房総市農林水産課の担当者は政府の方針を支持しつつも、「反対している人もいるので厳しいことも多いのではないか懸念している」と不安を口にした。
千葉県水産課は「商業捕鯨の再開を具体的にどうやるのか、小型捕鯨漁業者への影響などについて、国の状況を見守り必要に応じて対策などを検討したい」としている。