半導体装置、4年ぶり販売減 19年見通し 米中摩擦背景に投資手控え

中国・上海の商業施設にある華為技術(ファーウェイ)のロゴ=6日(ロイター=共同)
中国・上海の商業施設にある華為技術(ファーウェイ)のロゴ=6日(ロイター=共同)【拡大】

  • 世界の半導体製造装置の販売額

 世界の半導体製造装置の販売額は2019年に4年ぶりに減少へ転じる見通しだ。韓国や中国の半導体メーカーが設備投資を控えているためで、米中摩擦の影響を指摘する声もある。中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)をめぐる米中対立の先鋭化を背景に日本の半導体産業に余波が波及しつつある。

 見通しは半導体市場の動向を示すデータとして重要視されており、関連業界の企業戦略に影響を与える可能性がある。

 世界の半導体製造装置メーカーなどが加盟する業界団体「SEMI(セミ)」が予測した18年の世界販売額は、前年比9.7%増の621億ドル(約7兆円)で過去最高額を更新する。しかし、19年は4.0%減の596億ドル(約6兆7000億円)と予想した。17年実績の世界市場全体のうち合計で5割近くを占めた韓国と中国で、スマートフォンやデータセンター向け半導体メモリーの需要が落ち込み、投資の手控えが起きている。20年は反動で約2割増の719億ドル(約8兆円)を見込むが、先行きは不透明だ。

 製造業関係者は投資減速について「米中関係の悪化で見通しが立たず、静観するしかない状態」と指摘。両国を主要な輸出先とする日本の半導体装置メーカーにも既に影響が出ている。

 東京エレクトロンは10月、19年3月期の連結売上高予想を、従来の1兆4000億円から1兆2800億円に下方修正し「半導体メーカーの設備投資計画の調整が見受けられる」と説明した。日立ハイテクノロジーズも、7800億円から7500億円に引き下げた。

 日本は中国情報機関との結び付きが指摘される華為を政府調達から事実上排除する方針で、世界的に製品の使用を避ける動きも広がる。スマホ向け記憶媒体の半導体メモリーを製造する東芝メモリは「中国製品への輸出も多い」と懸念する。中国スマホ全体に買い控えが広がれば、部品を供給する日本企業への影響は甚大だ。