米国への対抗姿勢や北朝鮮の擁護、経済協力の強化など、近年さまざまな分野で“共同戦線”が目立つロシアと中国。しかし最近、複数の露メディアから「ロシアと中国の間の友好関係は見せかけのものにすぎない」との分析が相次いでいる。背景には、中国がロシア経済に貢献しておらず、むしろロシアの権益を侵食しているという不満や警戒感があるようだ。両国政府は友好関係の進展をアピールし続けているが、ビジネス現場などでは対立が深まっており、今後の両国関係に影を落とす可能性もある。(モスクワ 小野田雄一)
歴史的対立から協調へ
中国を支配したモンゴル帝国による13世紀のロシア支配(いわゆる「タタールのくびき」)や、19世紀のロシアによる清朝からの領土(現在の露極東沿海地方)の強引な割譲など、長大な国境線を有する両国には歴史上、侵略や領土紛争が絶えなかった。
そうした対立は、両国が共産主義体制を敷いた現代に入っても続いた。旧ソ連時代には、共産陣営内での主導権争いや領土をめぐって大規模戦争が起きる寸前に至ったこともあった。
しかし冷戦終結やソ連崩壊などを経て、互いの技術や資本を欲した両国の関係は改善。2001年には両国間で善隣友好協力条約が締結された。その後もアムール川(中国名・黒竜江)の中州の領有権をめぐる長年の紛争が解決され、両国の国境が画定された。
さらに現在は、両国にとって“共通の敵”である米国の存在もあり、ロシアと中国の関係は一般的に良好とされている。
経済・軍事で連携強化
実際、昨今の中露両国は共同歩調が目立つ。