【シンガポール=大柳聡庸】日中韓やインド、東南アジア諸国連合(ASEAN)など16カ国による東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の首脳会合が14日、シンガポールで開かれ、来年の妥結を目指す方針を確認した。関税撤廃や知的財産権保護などのルール作りで参加国の隔たりが埋まらず、目指してきた年内の実質的な妥結は断念した。会合後に公表した共同声明では「交渉の最終段階に進んだ」との文言を盛り込んだ。
首脳会合で安倍晋三首相は「保護主義的な動きが高まりつつある中、RCEPの重要性は高まっている」と強調した。18の交渉分野のうち、これまで5分野で合意していたが、新たに「衛生植物検疫措置」など2分野で合意したことも明らかになった。
交渉筋によると、中国製品の流入が増えるとしてインドが幅広い関税撤廃に難色を示した。また、電子商取引などで高水準のルール整備を求める日本やオーストラリアと、緩やかなルールを求める中国なども折り合えなかった。
トランプ米政権の保護主義的な通商政策に対抗するため、一時は、妥結に向けた機運が高まっていた。