香港経済をめぐっては、2017年の域内総生産(GDP)が約2兆6600億香港ドルと、隣接する広東省深セン市の経済規模(約2兆2400億元)を初めて下回っている。香港の存在感低下が指摘されていることについては、「近年、深センは速いスピードで成長を続けているが、そのことを香港は歓迎している」との受け止めを語った。その理由について「深センはテクノロジーや製造業が強いが、香港は金融、サービスセンターとしての役割分担ができている」と指摘。中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)や、通信アプリ「微信(ウィーチャット)」を運営するIT大手の騰訊(テンセント)など深センに本社を置く大企業も香港の金融・サービスを利用しているとして、「香港にとっても有益だ」との考えを強調した。
存在意義訴え
香港経済の現状については「長期的に考えて、香港が果たしている役目は変わってきている。経済やビジネスにおける変化を受け、それに対応するために進化を遂げている」と指摘。今後は「中国本土など成長を遂げている国々や都市に対し、サービスセンターとして寄与していく」との考えを示す。中国の巨大経済圏構想「一帯一路」についても、「一帯一路への投資は香港経由で行われている」と香港の存在意義を訴えた。
一方、国際社会で香港の自由が後退しているという疑念が生じていることについては、「香港では独自の法律と法整備が確立されている。企業などの権利が脅かされることはない」と否定した。その上で「香港政府だけでなく、中国本土からも司法をコントロールすることはできない」と強調した。(三塚聖平)