政府、新規参入促進へ漁業権見直しへ 70年ぶり制度抜本改革

 政府は6日、漁業権を地元の漁協や漁業者に優先的に割り当てる規定を廃止する水産改革関連法案を閣議決定した。養殖業への新規参入促進が狙いで、約70年ぶりの漁業制度の抜本的見直しとなる。臨時国会での成立を目指す。公布から2年以内に施行する。

 漁業法を改正し、漁業を営む権利である漁業権を都道府県が付与する際の優先順位の規定を廃止する。既存の漁業者が漁場を有効に利用している場合には優先的な扱いを続ける。

 暴力団の資金源とされるナマコやアワビなどの密漁対策も盛り込み、罰則を大幅に強化する。罰金上限を現行の15倍に引き上げて「3年以下の懲役または3000万円以下の罰金」とする。

 資源管理は船ごとなど個別に漁獲枠を割り当てる「IQ方式」を基本にする。個別に割り当てることで早い者勝ちの漁獲競争を避けることができ、操業が効率化する効果を見込む。

 吉川貴盛農相は閣議後の記者会見で、漁業就業者が減少しているため、水産物の安定供給に支障が生じる恐れがあるとし「意欲のある漁業者を確保して力をフルに発揮してもらわないといけない」と述べた。

 地域の農林水産物・食品のブランドを守る地理的表示(GI)保護制度に登録された農産品の保護を強化する関連法の改正案も閣議決定した。6日に承認案を閣議決定した日欧経済連携協定(EPA)に基づく対応で、EPA発効日に施行する。