特許庁は5日、企業ブランドの象徴となるデザインの模倣防止に向けた意匠法改正素案をまとめた。保護期間を現行から5年延ばして25年間にするほか、店舗の内外装や仮想現実(VR)技術で使われる投影画像といったデザインにも対象を広げる。来年の通常国会への提出を目指す。
多くの企業は自社商品で、デザインのコンセプトを統一した「シリーズ化」の展開をしている。法改正では、こうした企業が看板とする商品について知的財産権の侵害を防ぎやすくし、産業競争力の強化につなげる狙いがある。
シリーズ商品は、米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」が代表的だ。自動車大手のマツダは小型車からスポーツ用多目的車(SUV)まで幅広い車種を一貫したコンセプトで開発し、他社ブランドとの違いを出す戦略を進めている。
店舗の内外装もブランドイメージの認知度を高める上で大事な要素となっており、新たに保護対象とする。アップルやマツダに加え、「無印良品」を展開する良品計画などが店舗に商品と同様のコンセプトのデザインを取り入れている。
このほか、企業の手続きの負担を軽減するため、複数の意匠を一括して出願できるよう制度を改める。