TPP12月30日発効 世界GDPの13%経済圏誕生へ

TPPの年内発効が決まり、記者会見する茂木敏充経済再生担当相=31日午前、東京都千代田区の中央合同庁舎第8号館(鴨川一也撮影)
TPPの年内発効が決まり、記者会見する茂木敏充経済再生担当相=31日午前、東京都千代田区の中央合同庁舎第8号館(鴨川一也撮影)【拡大】

  • TPPの年内発効が決まり、記者会見する茂木敏充経済再生担当相=31日午前、東京都千代田区の中央合同庁舎第8号館(鴨川一也撮影)
  • 主な通商協定の枠組み(TPP、RCEP、新NAFTA)

 茂木敏充(としみつ)経済再生担当相は31日、東京都内で記者会見し、米国を除く11カ国による環太平洋戦略的経済連携協定(TPP11)について、日本時間の12月30日午前0時に発効すると発表した。域内の工業製品や農産品の関税は段階的に引き下げられ、投資や知的財産権保護など幅広い分野で高水準のルールを定めた。世界の国内総生産(GDP)の約13%を占め、総人口で約5億人を抱える巨大な自由貿易圏が誕生する。

 茂木氏は会見で「保護主義が強まる中、自由で公正な21世紀型のルールが確立するという強いメッセージの発信になる」と、発効の意義を強調した。

 また、茂木氏は新規加盟を希望する国の手続きなど今後の運営の詳細を協議する閣僚級の「TPP委員会」を来年1月にも日本で開催する方針も明らかにした。参加国の拡大により、保護主義の対抗軸となる経済圏づくりを目指す。

 日本は自動車など工業製品の輸出で追い風となるが、牛肉など安い農産品の流入で国内農業は打撃を受ける可能性もある。

 昨年1月にTPPから離脱した米国の製品は域内で関税引き下げの恩恵を受けられず、不利になる。日本は米国との関税交渉を来年1月中旬以降に開始する見通しで、引き続き米国にTPP復帰を促す考えだ。

 TPP11は6カ国以上の国内手続きが終了してから60日後に発効する。6カ国目となるオーストラリアが手続きを完了したため、年内に発効することになった。

 参加国で手続きを終えたのはオーストラリアのほか、メキシコ、日本、シンガポール、ニュージーランド、カナダの6カ国。ベトナムも11月半ばに手続きを終える見通しで、残るブルネイ、チリ、ペルー、マレーシアも手続きを進める。