米カナダがNAFTA改定で合意 報道、3カ国協定を維持

 【ワシントン=塩原永久】ロイター通信は9月30日、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉をめぐる協議で米国とカナダが合意に達したと報じた。トランプ米政権とメキシコが合意した2国間の協定にカナダが合流し、3カ国による協定枠組みを維持する。カナダの関係者によると、カナダは乳製品の市場開放を進める一方、米国の自動車関税を回避する内容が合意に盛り込まれた。

 米国とメキシコは8月下旬にカナダ抜きの協定に合意。トランプ米政権は、カナダが協定に加わる期限を9月末と設定し、詰めの交渉を断続的に続けていた。

 米カナダ両政府による協議では、米政府が求めるカナダの乳製品市場の開放や、NAFTA加盟国間の紛争解決制度の存廃をめぐる対立が残り、9月末まに歩み寄れるかが焦点となっていた。

 ロイターによると、米政府交渉トップの米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表らが30日、トランプ大統領に交渉の進展状況を説明していた。米国とメキシコは当初、2国間協定の内容を9月28日に公表するとしていたが、カナダとの協議の妥結を目指して見送っていた。

 日系をはじめとする各国の大手自動車メーカーは、すでに部品の調達・供給網(サプライチェーン)で一体化が進んだNAFTAの3カ国内に多数進出。カナダがNAFTAから離脱すれば、部品調達網に大きな混乱をきたし、米経済にも多大な影響が及ぶとして、米産業界や米議会からも3カ国の協定を維持するよう求める声が強まっていた。

 米国とメキシコが合意した2国間協定では、自動車の関税をゼロにする基準について、域内からの部品調達比率を現行の62・5%から75%に引き上げる内容が含まれていた。