日中両政府は、両国の政府関係者らが先端技術分野での協力を話し合う「イノベーション対話」を設立する方向で調整に入った。安倍晋三首相が10月に訪中して合意し、日中関係改善を象徴する成果にしたい考え。人工知能(AI)や自動運転技術の開発、管理などで連携し、両国の経済活性化につなげる狙いもある。複数の日中関係筋が23日、明らかにした。
両政府は、自民党総裁選で安倍首相が連続3選したことを受け、首相訪中に向けた調整を加速。日中平和友好条約の発効から40年となる10月23日に北京入りし、25日までの滞在中に習近平国家主席や李克強首相と会談する日程を描く。設立に合意すれば、年内に初会合を開催する運びだ。
一連の会談では、イノベーション対話に加え、第三国でのインフラの共同開発や金融危機時に互いの通貨を融通し合う通貨交換協定の再開についても進展を目指す。
日中協力をめぐっては、5月に来日した李氏と安倍首相の会談でイノベーション分野での協力を進める方針で一致。中国側は対話枠組みの早期設置を再三にわたり求めてきた。日本側は経済産業、文部科学、外務各省幹部らを出席させる方向。民間の研究者を参加させる案も浮上している。