【ベルリン=宮下日出男】欧州連合(EU)の欧州議会は12日、著作権法の改正案を賛成多数で可決した。インターネット上で使われる映画や音楽、ニュース記事に対する著作権の保護を強化する内容。米グーグルや米フェイスブックなど大手ネット企業に対し、コンテンツ利用の対価を制作者が求めることを認めることなどが柱だ。
改正案の成立には加盟国の承認が必要。施行されれば、記事のリンクや抜粋を利用したグーグルなどに報道機関が対価を求めることができる。改正案はまた、動画投稿サイト「ユーチューブ」などを念頭に、著作権を侵害する違法ビデオなどの投稿を防ぐ責任はサイトを運営するネット企業にあると明示。企業側は防止策が必要となる。
法改正は映画や音楽、報道機関など関連業界が強く推進。英ロックバンド「ビートルズ」の元メンバー、ポール・マッカートニーさんも呼びかける一方、「ネットの自由」を重視する欧州議会の議員やネット企業は反発していた。
また、欧州委員会は同日、テロ対策として、ネット上でテロ行為をあおるような内容のコンテンツに関し、当局の要請から1時間以内に削除することをネット企業に求める新規制も提案した。違反すれば、世界年間売り上げの最大4%を制裁金として課す。
新規制はEU加盟国と欧州議会が承認すれば成立する。EUは最近、ネットビジネスへの課税強化にも乗り出すなどしており、米大手のネット企業は相次いで新たな対応を迫られた格好となる。