中国、貿易摩擦で豚肉が値上がり

 米中貿易摩擦の影響で、中国の主要食品である豚肉が値上がりし始めた。米国への制裁措置で、飼料となる大豆に高関税を課したためだ。中国各地で発生したアフリカ豚コレラも追い打ちを掛ける。

 中国政府は先ごろ、昨年2月から下落が続いていた豚肉価格が、今年6、7月とも前月比で上昇したと明らかにした。今後も上昇傾向が続くとみている。畜産業が盛んな山東省では8月、豚もも肉の平均価格が前月比で25%上昇した都市もある。

 中国は7月から、米国産大豆に25%の追加関税を課した。中国メディアによると、国内で消費する大豆の8割以上は輸入品で、うち3割超は米国産だ。関税引き上げで輸入量が減り、大豆から作る飼料の国内価格も上昇。農業農村省の幹部は「国内の食品価格全体が上昇する事態」を警戒している。

 さらに8月に入り、遼寧省の養豚場でアフリカ豚コレラの感染が中国で初めて確認された。河南、江蘇、浙江各省でも発覚。大量の殺処分に追い込まれた。畜産農家が投げ売りに走ったため短期的には価格下落要因となったが、供給が減って価格が値上がりするとの懸念が強い。

 アフリカ豚コレラは致死率が高く、被害が拡大すれば「中国経済に大きな打撃になる」(中国の専門家)との見方も出ている。(北京 共同)