人事院の一宮なほみ総裁から人事院勧告を受け取る安倍首相=10日午前、首相官邸【拡大】
人事院は10日、国家公務員の定年を現在の60歳から段階的に65歳まで延長するよう求める意見書を国会と内閣に提出した。実現すれば民間や自治体にも波及しそうだ。2018年度の給与改定は月給、ボーナスともに5年連続で引き上げを勧告。学校法人「森友学園」をめぐる財務省の決裁文書改竄(かいざん)を踏まえ、公文書偽造など悪質な行為をした職員の処分は懲戒免職か停職と指針で定めることも報告した。
定年延長の実施時期は明示せず、政府に判断を委ねた。政府内では21年度から3年ごとに1歳ずつ延長し、33年度に65歳とする案が浮上。検討を進め、19年の通常国会での関連法案提出を目指す。官邸で一宮なほみ人事院総裁から意見書と勧告を受け取った安倍晋三首相は、定年延長について「少子化が進む中、人材をどのように活用するかが官民に関わる大きな課題だ」と述べた。
具体的な仕組みでは、若手の昇進ペースが遅くなるのを防ぐため、60歳に達した管理職を下位のポストに降格させる「役職定年制」の導入を提言。人件費の抑制策として、60歳になった翌年度以降の月給の3割カットを求めた。
長時間労働の是正をめぐっては、残業時間の上限を原則年間360時間、多忙な部署は同720時間と人事院規則に明記する。働き方改革を中央省庁でも進めるのが狙いで、順守を義務付けるが、罰則は設けない。