米、対中関税25%に引き上げ 制裁強化を検討、22兆円相当

米中貿易摩擦の激化を警戒した売りが膨らみ香港株式市場のハンセン指数はほぼ全面安の展開。終値は心理的な節目の2万8000を下回った=2日、香港(AP)
米中貿易摩擦の激化を警戒した売りが膨らみ香港株式市場のハンセン指数はほぼ全面安の展開。終値は心理的な節目の2万8000を下回った=2日、香港(AP)【拡大】

 米通商代表部(USTR)は1日、中国からの2000億ドル(約22兆2000億円)相当の輸入品に対する制裁関税で、10%を予定していた追加関税の比率を25%に引き上げる制裁強化策を検討すると発表した。

 米政権は「中国が不公正な慣行を改めようとしない」(USTR高官)ため、制裁を強化して圧力を強める構えだが、反発する中国との対立激化が予想される。

 USTRのライトハイザー代表は1日の声明で、制裁強化はトランプ大統領の指示だと明らかにし「中国の有害な政策を改めさせるための追加手段を、米政権が確保することが目的だ」と述べた。USTR高官は報道陣に「米政府は(中国政府との)対話の扉を開いている」と語った。

 トランプ政権は中国の知的財産侵害を問題視し、7月上旬から、計500億ドル相当の中国製品に25%関税を課す対中制裁を段階的に発動していた。

 また追加制裁として2000億ドル相当への関税を準備。対象品に衣料などの日用品も含まれることから、消費者への影響も考慮し、関税比率を10%に抑える予定だった。

 USTRによると、産業界からの書面による意見聴取手続きなどを9月5日まで実施する。米国が実際に発動を判断するとしても同月以降になるとみられる。菅義偉官房長官は2日の記者会見で、「米中両国の関係は世界にとって重要だ。日本も含め他国への影響を注視していきたい」と述べた。(ワシントン 塩原永久)